大家様は神様か!

……人間、命の危機を感じたら、体が動くものなんだ。


決して物音をたてないように、私は行動を開始した。

素早く自分の部屋に入り、お気に入りのショルダーバッグを手に取る。

絶対必要なのは、お金。

バイトに持っていってた鞄の中から財布と携帯を出し、入れ換える。

それから制服と下着を何枚か入れた。

教科書は……まあ、借りればなんとかなるでしょ。

いつも通帳の入っている引き出しを開けたが、私のやつ以外はなかった。

あの親父が持っていったに違いない。

仕方なく自分の通帳を入れ、準備はオーケーだ。


「ほらほら、早く出てきてよォ。じゅーう、きゅーう、はーち、なーな……」


……死へのカウントダウンが始まった。

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