傷を負った私を助けたのはヤクザでした。【完】
廃墟に男達3人が集っていた。
『おい、紅菊って知ってるか?』
『知ってる知ってる、世界の五本指に入るくらい最近伸びてるやつだろ?』
『調子乗ってるよな』
『そんなこと言ってっと殺られるぞ』
『大丈夫だこんなとこ、誰も来ねえよ』
『アイツは神出鬼没だから分からんねえ…うわあああああ』
『お前!誰だてめえ!!』
『紅菊だ…』
『お前がっ…ぐあ…』
『お前ら!くそっ…ぐはっ…』
『任務完了、鳩』
『俺に命令すんじゃねえ』
男は動けない男達をせっせと片付ける。
『…行こう。』
『お前、もうあの男(玲真)はいいのか』
『明日…結婚、するらしい。』
『…とてつもない馬鹿だと5年前のお前に俺は言ったはずだ。』
『…うん。』
世界の五本指に入るほど腕はあがったが、5年という月日が経ってしまっていた。
彼(玲真)にとって5年もの時間を与えてしまった。
5年という余りに余る時間で、彼は新しい愛しい人を見つけ、これから新しい時間を歩んでいくだろう。
暗闇の中で一人…一筋の涙を流した。
そして、2人は闇の中へと消えた。
月が綺麗な夜のことだった。
end