傷を負った私を助けたのはヤクザでした。【完】
守りたいやつ 玲真side
「どう?」
セットされた髪、ウェディングドレス姿をくるっと回って見せてくる俺の見合い相手…鈴木七音-suzuki nao-
七音は鈴木組の次女。
「…いいんじゃないか」
「もっと褒めてくれても良くない?人生に1度のウェディングドレスなんだから!」
頬を膨らませる七音は、綺麗…だとは思う。
でも違う。
本来、俺の目の前には『百合』がいるはずだったから。
百合は5年前俺たちの目の前から姿を消した。
現柏木組長からの手紙とともに。
「誓いのキスは無理して触れなくていいから。」
「いや…大丈夫だ」
俺には、百合しかいないことを明かしたからか、七音は『形だけ』式をあげることになった。
これは俺らしか知らない約束。