傷を負った私を助けたのはヤクザでした。【完】
「で、私にいらっしゃったということですか…。」
「あぁ」
相変わらずすました顔をする真一。
藤井組…俺の運転手。
「鳩の弱味…握ってんだろ?脅して連れてこいよ」
「そうですが…。あいにく、5年前から消息が掴めないんです…。もし、いたとしても来ない可能性が高いと思われます。」
「真一」
「玲真様、もう貴方は結婚されています。それを知った上で百合様に会いにゆく…と?」
俺の目をじっと見つめる真一。
俺は、
「俺は-」
俺の言葉は、真一によってかき消された。
「玲真様。…お気持ちはわかりますが、貴方には他に守るべき人がいます。七音さんを一生愛し、守らなければなりません。」
俺は、百合だけ…を愛している。