傷を負った私を助けたのはヤクザでした。【完】
「また、会ったとしても貴方は何もすることは出来ないかと…逆に、会うことで百合様を苦しめてしまうのではありませんか。」
手に力が入るのがわかった。
「重ねて玲真様は今年28歳。百合様は22歳。…もう、良いのではないでしょうか。」
私如きが、申し訳ありません。と付け足して業務に戻った真一。
良いって何が。
はあ、と大きな溜息をついた。
「…玲真?」
ひょこっと扉の奥から出てきたのは七音。
式を挙げてから此処へ嫁いで一緒に住んでいる。
「ごめん、聞いちゃった。聞くつもり無かったんだけど…。」
俯き、少し笑う七音。
俺は、目の前にいる七音も誰も幸せにすることが出来ない…自己嫌悪に苛まれた。