堅物と翼と私
第一章
先輩と後輩
「おーい、佐久間ー、腹の肉がベルトにのっかってんぞー」
「ブッ」
後輩の1人が吹き出した。
「涼……前から言ってるけどね、ソラはそこまでデブじゃないよ」
「えーー、でもみよちゃん、あれを見てみなよ。今にもシャツがはち切れそうで悲鳴を上げてるよ」
みよちゃんは苦笑いしている。
「ほら、キャータスケテーって聴こえる…ブハッ、くっくっく…」
「植田先輩……俺が何か?」
当人の冷ややかな目線を感じた。
が、私はニヤリと笑って返す。
「いや、なーんにも?」
…彼はしばし沈黙した後、また机に向かった。
反論するのめんどくさがりやった…
佐久間ソラ。
我が文芸部の一年生。
身長が高い。たぶん175cmくらい。
頭が鬼。定期テストはいつも、学年全体でも5位に食い込む。
そして運動神経が鬼。50mを6秒で走る。人間じゃない。