今日も君に翻弄される。
つまりだ。


葵からの着信は「運命」に設定してある僕の携帯。


この、目覚まし代わりの携帯が、何をとち狂ったのか朝早くから鳴ったのだった。


そして、極め付けは、これ。


送られてきた、『泡になるよ』というこの一文。


……意味が分からない。


葵のことだ、何か馬鹿なことに感化されたに違いなかった。


「もしもし」


僕は早急に電話を掛けた。


朝は忙しいかもしれない、とも考えたけど、僕の心配を裏切って、呼び出してすぐに葵が出た。


『もしもし、和泉くんが電話なんて珍しいね。どうしたの?』


些か眠そうに落とされる声に、急いで厳命する。


「早まらないで」

『うん……?』


自殺志願じゃないだろうね。


まさかとは思うけど、頭を打ったか何かして、脳がひどく損傷したのだろうか。
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