今日も君に翻弄される。
『馬鹿じゃないの』

『ごめんなさい……(やっぱり怒られたー……)』

『本当馬鹿じゃないの』

『すみません』

『僕、起床は五時半って決めてるんだけど』


如何に生くべきか。


幼い頃考えた命題。


小さな頭で考えて考えて、考え抜いて。


大胆な結論に帰着した。


自分以外の声には従わないと誓った。

法則に則って生活すると、決意した。


朝、五時半に起きること。

歯磨きはきちんと三分で終わらせること。

飲み物は最初の一口を大事にすること……。


僕はずっと、そうやって過ごしてきたのに。


教えていなかったとはいえ、僕の験担ぎが台無しじゃないか。


全く、もう。


『僕の安眠を妨げた理由がそれとか、葵は本当に安本丹だね』


返信が来ない。


あんぽんたん、とは則ち愚か者、の蔑称なんだけど、


葵は別のことを考えていそうだ。
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