今日も君に翻弄される。
『まあ、その後僕は多分恒星になるから、毎晩夜空を見上げてよ』

『わたしがなるってばー!』

『駄目』

『何でさ!?』

『葵は方向音痴だからね、地球から離れたところで輝きかねない』

『ひどいよ和泉くん!?』


僕が葵を見失う訳がないので、その点憂いは皆無。


だけど、願わくば。


まばゆく輝く大きな星になって、優しい誰かの隣で微笑む君を、夜空から見守れることを。


煌々と煌めいて、葵が見つけやすいことを。


『マイナス二十七等星くらいの輝きなら、まあ葵でも見分けが付くでしょ』


あまりに明るいと負の値になる。


マイナス二十七等星というのは太陽のことだ。


太陽と同等、もしくはそれよりも明るければ何とかなるだろう。


『じゃあ熱いのかなあ』

『え、体感温度あるの? 僕熱いの苦手なんだよね』

『だって明るいんだよ、太陽とおんなじくらい明るいなら熱いんじゃないの?』

『いや、だからといって熱いとは限らない』

『(えー……)』
< 118 / 261 >

この作品をシェア

pagetop