今日も君に翻弄される。
『わたしだって和泉くんの一番がいいもん』


可愛い返事がすぐさま返ってくる。


怒ったような、照れたような葵の横顔を画面越しに想像して、笑みがもれた。


むすー、とか、ふんす、とか、ふしー、とか、恐らく今、葵はそんな表情をしている。


『僕の隣は葵専用だから安心して。他の選択肢等有り得ない』

『(今日の和泉くんがあり得ない……!)』


さっさと思った通りのことを書けば、葵からの返信が途絶えた。


どうしたんだ。


訝しむ僕が画面を見つめ続けていると、三分程経ってから、やっとこさ文字が現れた。


『和泉くん病院』


来たら来たで失礼極まりないな。


『僕は今日体調は良好だ』

『発言がおかしいんだよ』

『葵の態度が可笑しい』

『選ぶ言葉が甘ったるいけど……』

『わざとだ』

『(わざと……っ!?)』


葵が戦慄しているとは露程も思わない僕は、次の文面を考えていたら、不毛な争いの終止符を見つけた。
< 120 / 261 >

この作品をシェア

pagetop