今日も君に翻弄される。
『訂正する』

『ななな何でしょうか……!』


そうだこれだ。


泡になる、ならない、を議論するのではなく、始めから思い付けば良かった。


前提が間違っていたとは手痛い失敗。僕らしくもない。


『僕は恩人を間違わない。というよりは、助けてくれた時点で逃がさない』


起き上がって引き留めれば話は早い。


あれは恩人の顔を知らないが故のすれ違いだからね。


嵐で船が転覆したんだとしても、そこで気絶する等軟弱過ぎる。


王子なんだから、付き従っているはずの臣下が引き留めても良いのだし。


そこで主の側にいられない臣下など、無能なだけだ。


些か乱暴な話ではあるけど。


僕の暴論を、いやいやいや、と否定。


『気絶してるんだよ、人工呼吸とかいるかもしれないような重症だよ!? 無理だよ!』

『王子は姫のキスで目覚めるものだよ』

『(逆です……!!)』
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