今日も君に翻弄される。
談義は思いの外長引いた。


葵が人魚姫、僕が王子、という粗い設定は崩れないままで。


『わたし、まだ人魚なんだよ、引き留めても陸じゃ生きられないよ!』


僕の逃がさない発言に、葵が憤然と反論する。


『そうかな』

『そうだよ!』


別に、囲おうと思えばそれほど難儀ではない。


巨大水槽とか浴室暮らしとか、色々方法はあると思うけど。


そこまで脳内再生して、問題点に気付いた。


……ああ、それじゃあ城内で生き難いのか。


一つの場所に縛られるとなると、不都合が溢れるだろう。

別棟に隔離の可能性もあるし。


確かにそれだと、公務をこなす傍ら、姫の側で一日中張り付いているのは無謀かな。


ふむ、成る程。


不便だ。


だったら、と、僕は次の案を考えた。
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