今日も君に翻弄される。
夢を見ていると思った。


夢を見ていると分かる夢、そんな感じだ。


だって、もし夢でなかったら、わたしが人魚になっているはずがないよ。


そう、人魚。

人魚なのです。


少し見遣るだけで海底まで覗き込めそうな、澄んだ青さが目立つ海。


まるで高価な宝石を閉じ込めたかのような、波打つ景色の下。


潜っていてもなお、きらきらときらめくうろこが虹色に反射した。


鮮やかな青の尾が水と同化する。


華美ではないけど、ところどころ装飾もついているみたい。


ふおおおおお、可愛い! すごい!


本で見た人魚そっくりの姿に浮かれるも、足先(?)から順に視線を上げてきて、わたしは嘆息した。


残念なことに、わたしはスタイルがよくない。


おなかがテロを起こしているんだよね、実は。


でもまあ、基本水中にいるし、深いところは大抵薄暗いしね。


ちょっとくらいなら見えにくいからいいか。


と、のんびり構えつつ、遠くに位置する都市を目指す。


とりあえずきょろきょろしていたら。
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