今日も君に翻弄される。
「どした。もう始まんぞ」

「ティッシュ持ってない?」

「男に聞くな。風邪引いてないのにあるか」


ばっさり切った慶介さん、男子だから持ってないってそんなことないと思います。


「なに、なくなったの? あんなに持ってたのに? お前どんだけかんでんの」


茶化す慶介さん、今はそんな場合ではないと思います、はい。


すん、とか和泉さんが鼻を鳴らすなんて結構危機的状況な気がする。


「この辺りにコンビニあった?」

「二つ向こうの通りにあった。でも今からじゃ間に合わないだろ」


うん、と頷いた和泉さんは困ったように眉をひそめている。


「とりあえずもう一度鞄見るけど、ないと思うんだよね……」

「悪いな」

「いや。なんとかする」


微妙に焦った表情が垣間見えて、思わず和泉さんの肩をとんとんと叩いた。
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