今日も君に翻弄される。
「飴は、苦手で」

「…そうですか」


そっか、いらないか。


そうだよね、よく知らない相手からだし、飴が苦手なら……ん?


気落ちして、思う。


苦手? いらないじゃなくて?


え、ちょっと待って、もしかしてこれはもらってくれるってことじゃない!?


「じゃあこれは、あ、こっちはどうですか!?」


ポーチを引っくり返す勢いで、次々におかしを取り出す。


おやつは常備品。


飴じゃないものだって持っている。


「え」

「だめですか、じゃあこれなんてどうですか甘くないですよ!」

「……いや、あの」

「これも美味しいと思いますしこっちもおすすめで、」

「ちょっと待ってください、もう良いです大丈夫です、頂きますから……!」


目を白黒させてわたしを止めた和泉さんは、


「頂きます」


と笑って、小ぶりのクッキーを一つ手に取った。
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