今日も君に翻弄される。
「問題はどれですか」


自分で考えてみた結果、全然進展しなかったノートを見せる。


「第三問の(3)です。ここまではできたんですけど、ここからがどうしてこの式が出てくるのか分からなくて」


この途中式は解説にあったから、少なくともここまでの導き方は合ってると思うんだけど。


和泉さんはわたしのノートを始めから読んで、


「捉え方が少し違うかもしれません」


と言った。


でもこれ、学校で教えられたやり方だけどな。


わたしの申告に、塾で教わったんですが、と前置き。


「計算より図で考えた方が楽です」


いまいち状況を呑み込めていないわたし。


塾というところは、学校より高度な問題を解くものらしい。


瞬きしていると、和泉さんは与式を丁寧に写して示した。


「書き方が難しいですが、ここは関数のことです」

「関数?」


ちょっと待ってください、と断った和泉さんが式をいじると、何だか関数になった。


ほんとだ。

なんでだ。
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