今日も君に翻弄される。
頷く和泉くん。


「チョコも好きだよ」


さらりと何気ない様子での発言に固まって、慌ててしゃべる。


「お、美味しいからね!」


チョコは正義だと大騒ぎしてまぎらわそうとしたら、実に不審なものを見る目で見られた。


「何で照れてるの」


う。


照れたのは普通にばれていたらしい。残念。


「びっくりして……」


正直に話すと、和泉くんは不思議そうに首を傾げた。


和泉くんはおそらく意識していないから、分からないんだろう。


わたしが好きなものを和泉くんがまるごと好きだと言ってくれることなんて、めったにない。


まあ嫌いじゃない、とか、へえ、とか、ふうん、とか、いつもだったら反応薄いんだよ。


いつもだったらそうなのに。
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