今日も君に翻弄される。
でも、分かるよ。

和泉くんなわけがないって思うよね。


わたしも当事者じゃなかったら、和泉くんは告白とかしない印象を絶対持つ。


「何」


和泉くんが今こうして機嫌を損ねていることの方が、もっとびっくりするくらいだ。


「いや、意外で……何て告白したんですか」

「普通」

「…………」


うわあ、勇者だなあ。


和泉くんの普通は普通じゃなさそうとか思っていそうだ。


確かにそうなんだけど。



「詳しくお願いします!」

「黙秘する」


ばっさり切り捨てた和泉くんに、「えー」と抗議の大合唱。


和泉くんはうるさそうに眉をひそめたままなので、茶目っ気を出してみた。


「じゃあわたしが言う」

「葵……!?」


ものすごく怖い顔をしてわたしを見る。


怯むわたしに、後輩さんがうまく援護をくれた。


「葵さんて言うんですか? 可愛い名前ですね」

「ありがとうございます」


お礼を言うわたしの耳に、物騒なため息が飛んでくる。


和泉くんが真剣な表情でわたしを買収。


「葵、黙秘して。はいカルメ焼き」
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