今日も君に翻弄される。
「荷物重いなら持つよ」

「じゃあちょっとお願いします」

「ん」


申し出に重いというよりはかさばる袋を半分預ける。


徳用品を買ったら、一袋に入りきらなくて二つになってしまったのだ。


歩きやすくなった荷物ついでに先ほどの疑問を解消することにした。


「ねえねえ和泉くん」


呼びかけると、何、とこちらを振り向いた和泉くん。


名前を呼ぶと絶対目を合わせてくれるから、何だか嬉しくなる。


だからといってそれが、わたしが会話の大半は和泉くん和泉くん言ってる理由にはならないけど。


というか、案外変態じみている気がする。


気をつけよう。


でも和泉くんの名前好きなんだよね。


和泉くんにすごくぴったりなんだもん。


呼びたくなってもしょうがない、って、おっとっと。


呼んだんだから話をしなくちゃ。


「何買ったの?」

「(あー……)」

「お菓子? 日用品? 見せて見せて、はっ、でも和泉くんはお菓子なんて買わないか……!」


真っ先に思いつくのがお菓子だなんて、食意地張ってると思われたかな。

まあ否定はできない。


一人飛ぶ思考を和泉くんが遮った。
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