今日も君に翻弄される。
「手、出して」


まごまごと手を開くと、軽い音を立てて小袋がのせられる。


柄は赤地に白の雪。


銀のリボンで口が絞られている。


呆然と袋を見つめていると、しばらくして。


「…………あげる」


ものすごく照れた和泉くんの声が小さくちいさく降ってきた。


照れまくっているそれに、勢いよく顔を上げる。


「あ、あけていいですか……!」


視線を上げたのに目が合わないのは、和泉くんが真っ赤な顔を背けているから。


さらり、流れる黒髪から見える耳が、一はけ朱に染まっている。


「…………ええと、まあ。どうぞ」


こく、と小さく頷く和泉くんを尻目に、いそいそと縁をゆるめれば。


飴が、詰まっていて。


特大特濃ミルクあめだったり、して。


「(これ、意味……!)」

「まあ、迷信らしいけど」

「(迷信でもいいです!!)」
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