今日も君に翻弄される。
「(わー……和泉くんの眼鏡だ)」


わたしの手元にあるのは青い眼鏡。


和泉くんが外したところを興味津々で見ている。


「これかけてみてもいい?」

「いいよ」

「ありがとう!」


うきうきと手にとって、そおっと耳にかけてみた。


「和泉くんみたいになっちゃったらどうしよう、はっ、それって素敵だ……!」

「…………」


るんるん、鼻歌を歌いながら、嬉々として鏡を取り出す。


「和泉くん頭いいしかっこいいし、つまりわたしも頭よさそうなクール系美女になれるのでは!」


思いつきににやにやするわたしを冷たい目で見る和泉くん。


「そんな訳ないでしょ。葵は可愛いよ」


まさかの発言に、手から鏡を落とした。


い ず み く ん … !


ぐは、と伏せたわたしは机に激突した。




「和泉くんのお馬鹿! 痛かった!」

「(えー……)」

「眼鏡返すね! ありがとう!! それと可愛いって言ってくれて嬉しかった!」

「(何か怒ってるんだけど……理不尽だ……)」
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