今日も君に翻弄される。
「……和泉くん、お兄ちゃんみたい」


って、あれ。


これ、万が一真実だったら悲惨じゃないか。


和泉くんの優しさが親愛に近い意味合いだとしたら、……もし本当にそうだとしたら。


わたしはちょっと立ち直れないかもしれない。


邪推しているだけなのは分かっている。


でも、それでも、何を馬鹿なと、一笑にふせないのは確か。


だって和泉くん、わたしに対して餌づけが多すぎるのだ。


クッキーとかマカロンとかケーキとか、シュークリームとかお団子とか、食べ物で誤魔化されてきた思い出も少なくない。


餌づけって動物とかにやるよね、可愛がる人と可愛がられる人ってあんまり立場対等じゃないよね、つまり親愛の情の表れだよね……!


「葵」


混乱するわたしを和泉くんが呼んだ。
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