今日も君に翻弄される。
なんてひどい認識なんだ。


さらり、優しさに見せかけて毒を吐いた和泉くん。ううう、あんまりな扱いだよ……。


誤解は早いうちから解いておかなければならない。


憤慨したわたしはすぐさま打ち込んだ。


『追試じゃないよ! 赤点回避ちゃんとしたよ!?』


弁明するも、へえ、と軽い返事で、完全に他人事。

事実だけど。


『それはよかった。葵のことだから赤点取ったんだと思った』


さっきから何気にひどい。ちくちくわたしの心を針で刺している。


すごい傷ついたよ。ブロークンハートだよ。


“broken heart” と、綺麗な発音で脳内和泉くんが茶化すものだから、ふぬ、と眉根が寄った。


赤点取ったんだと思った、だなんて、全く、どれだけわたしを馬鹿だと思っているんだ。


これでも懸命に勉強したのだ。


さすがにあれだけ頑張って赤点を取ったら悲しくなる。


そして。
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