今日も君に翻弄される。
メールだと距離が遠かった。


……いや、うん、文面はいつも通りの口調だけど、あれですよ。


無性に声が聞きたいときってあるよね。


ないかね。わたしはあるんだけど。


……あるよね?


自分に弁解しつつ、和泉くんに相談する。


和泉くんも訝しげに、『葵、何か企んでない?』などと言うのを何とか交渉して電話にしてもらった。


うっ、……しろめたくなんてないもん。


「えー、えっと、葵です」

『和泉です』


い、いずみくんがじぶんのこといずみっていった……!


流す、もしくは秋庭です、と言うだろうと思っていた。


まさかの選択に、わわわわわ、なんて、頭がショート寸前で。


目の前が激しく明滅して仕方がなくて、まばたきを繰り返してみた。
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