今日も君に翻弄される。
いずみくんが、いずみくんがじぶんのこといずみっていった……!


呆然と反芻。


わたわたして頭が真っ白になったものだから、混乱して漢字が極端に減ってしまう。


驚くにしてもせめてもうちょっとあるでしょ、わたし。


表記なんて字面じゃないと相当分かりにくいはずなのに、


しかもわたし、話してないのに、


『葵、平仮名多いけど、どうしたの』

「う、うん、ちょっと」

『……そう』


雰囲気からだろうか、何かを察した和泉くんが眉をひそめる気配がした。


電話越しでも充分伝わる。


わたしのこと、今確実に不審者扱いだった……!


自分は人の脳内を分かっておきながら、完全に引いている。


それ、自分のことを棚に上げるって言うんだからね。まったく。


それにしても、和泉くんはエスパーか何かだろうか。


うんそうだきっとそうだ、だって和泉くんのハイスペックはちょっとおかしいレベルに達している。
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