今日も君に翻弄される。
『少しは勉強して』


当然のお言葉にうなだれる。


学生の本分は勉強だ。和泉くんは真面目で頭がいい人だ。


ぽわぽわー、と浮かれっぱなしの彼女なんて嫌に違いない。


「はい……」


へなへなぺたん、と元気なくしょぼくれる。


落ち込むわたしに、「怒ってないよ」と和泉くんは電話口で低く笑って、ひどく優しい回答を電波にのせた。


『会える時間が減るから』


追試になって補習が入って、ってなったら予定が合わなくなるでしょ。


だから勉強して。


『そんなもので埋めるくらいなら、手帳は僕との予定で埋めてよ』


黙り込んだわたしを完全無視して、じゃあね、と電話を切ってしまった和泉くんに。


「うっわあ……!!」


わたしは呆然としてベッドに倒れ込んだのだった。
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