今日も君に翻弄される。
とまあ。


そんなことがあって。


わたしは今、ぜえはあぜえはあ言いながら、息も荒く全力疾走している。


確認した腕時計によれば、短針は約束の四時半の五分前を指していて、チクタクチクタク、正確に刻む時計の音が、わたしの焦りに拍車をかけた。


和泉くんのことだ。


怒ったら帰っちゃうかもしれない。……冗談抜きで。


それは困る。


だって問題分からないしもうすぐ模試だし、何より和泉くんに会いたい。


泣きそうな視界はわずかに歪んだ。


「(間に合ええええー!)」


曲がり角を曲がれば、図書館の駐車場が見えるはず。


何とか時間通りに着くことを祈るしかなかった。
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