今日も君に翻弄される。
場所を確保して座る。


一息吐くと、和泉くんに対する不満がぶり返してきた。


「でも和泉くん、さっきそうだねって言った」


何で何で、と顔に書いて提出すれば。


全くもってたじろぎもしない和泉くんが、堂々と言い返した。


「あれは待ったかどうか聞かれたから、待ったと言ったんだ。遅れてごめんにはかからない」


……憎らしい。


「文系なのに危ないんじゃないの」とか厳しい和泉くんなんて嫌いだ。


上がったテンションは急降下。


「待ってない、とかも言ってくれないし!」

「事実を述べないことに何の利点があると言うのかな」


葵だって嘘つきは嫌でしょ。


なんて、いかにも正論っぽくわたしを論破しようとするけど。


彼氏という立場上、少々素っ気なくはないでしょうか……!


一般的な彼氏さんは彼女さんに甘いんですよ。


知ってますか和泉くん。
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