今日も君に翻弄される。
「嘘と優しさはときに同値なんだよ、知ってる和泉くん」

「知らないし興味もない。そんなものはまやかしだ」


返す刀はは鋭い切れ味で。


和泉くんは、すぱーん、とたいへん勢いよくぶった切った。


……な、泣いてもいいかな。


意気消沈したわたしはきっと悪くない。


不可抗力なはずなのです。


「(もうほんとやだこの人っ……!)」


理詰めなんて、最初から、和泉くんが圧倒的優位に決まっている。


ふて腐れるわたしにはお構いなしで、和泉くんは無造作に言葉を投げた。


「それに僕は少し怒っている」
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