今日も君に翻弄される。
「わたしだったら和泉くんのこと、いくらでも待つけどな」

「待ってないで連絡したら。時間の無駄」

「(えー……)」


確かに、連絡を取る文明の利器は多くあるけど。


時間を浪費するより、連絡手段を探した方が解決は早いだろうけど。


もうちょっと、もうちょっとでいいからさ。


……和泉くんは乙女の夢を理解してください……。


雰囲気が、せっかくの夢がー! とうじうじするわたし。


あんまりにも残念がる様子を見かねたのか、和泉くんが黙り込む。


もう少しそっぽを向いて、小さく呟いた。


「……それに、僕は葵を待たせない。それこそ時間を浪費している」

「っ」

「…………」


これでいい? とでも尋ねるみたいに、視線を寄越した和泉くん。


大分投げやりだけど充分だ。


こくこく頷く。


本心には違いないから、贅沢は望まない。
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