今日も君に翻弄される。
「和泉くんありがとう大好きー!」


さすが和泉くん、要点を押さえている。


わたしのツボを押す発言に目を輝かせ、たちまち元気が回復した。


現金かな。

現金だな。


でもいいの。幸せですから。


わあわあ盛り上がるわたしに恥ずかしさが増してきたのか、言った本人である和泉くんが仏頂面で黙り込む。

その口元は、反応に困ったみたいに、定まらずに歪んでいる。


わずかに目を泳がせてそっと溜め息を落としてから、「ほら勉強するよ」と和泉くんは号令をかけた。


「あ、うん、そうだね! 勉強だね!」

「……葵」


違うから、忘れてなんかないから!


慌ててノートや教科書、テスト問題などを用意する。


分からない問いにはあらかじめ丸をつけてきたのだ。


さすがわたし、やればできる子、……って、
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