今日も君に翻弄される。
恐怖に駆られて反射的に顔を背けてしまったのは、わたしの本能が警鐘を鳴らしまくったからで。


……多分、仕方、ない……よね? うん。


恐ろしいほどに厳めしく存在する紙束を目に入れないようにする。


泳がせた視線とともに、じりじり、距離を取った。


もうこれは、最後の手段しかないと思うんだ。


少しでも下を見たら見える。

前を見たら和泉くんがいる。


鳥肌を我慢するくらいなら、和泉くんを見つめている方がはるかに幸せだ。


気恥ずかしさに耐え、日光に淡く透ける和泉くんの前髪を眺める。


原稿用紙さんめ……!


わたしは君が結構恨めしいよ……!


でも和泉くんを自然に見られる機会をくれてありがとう……!
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