今日も君に翻弄される。
和泉くんは抜群に眼鏡が似合うことと、


字がお手本のように整っていることと、


やっぱり教えるのが上手いことを思い知ったころ、勉強会はようやく終了。


約束の七時まで、残すところあと四十分ほどだ。


ぼーっとしていてもよかったんだけど、それだと必然的に論文が見えてしまう。


となるとぼーっとするのは却下、でも和泉くんの近くにはいたい。


解決策として、いそいそと読書用の本を選ぶ。


本棚巡りから戻ってくると、和泉くんがノートをめくりながら難しい表情をしていた。


回らないように細心の注意を払って回転椅子に座る。


回るとどうしても音が鳴るし、できる限り余計な動きは自重した方がいいと思うんだ。


わたしの都合に合わせてくれたんだもん。


和泉くんの邪魔はしたくない。
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