今日も君に翻弄される。
ででででも、でもでも、和泉くんが書いてること、知りたい。


絶対絶対小難しくてわたしには理解が及ばないことなんだろうけど、知りたい。


和泉くん大好き故に、もう一度、限りなく目を細めて恐怖のノートを見てみた。


……ひぎゃあああ! なにこれこわいよ!!


やっぱり駄目だった。


一つ一つの字が小さいうえに、数字が大半を占めている。


脳が理解を拒否。


C軸のノートにそんなに書き込むって、何事ですか。


……うん、論文ですね。


ああ、全くもう、頭が痛いや。


わたしが一緒に数字の話ができる人だったらよかったのに。

そうしたら、和泉くんだって多分嬉しかったのに。


日々残念度が増す自分に不審感が募るのを尻目に、早々に退散した。


こういうときは読書をしているに限るのである。


でも、やっぱりちらちら見ていたら。


気に障ったのか、和泉くんが顔を上げた。
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