今日も君に翻弄される。
促したけど、和泉くんは話を止めてしまった。


違和感に戸惑うも、一人和泉くんは涼しげに前を向いている。


え?

ええっ?


まさかまさか、紹介それだけ、とか。


「短くないですか……!」


見張った目をしばたたいて、思わず挙手しかけた右手を頑強な意思の力で下ろしつつ、主張してみるも。


そう? なんて、わたしの抗議に首を傾げている和泉くん。


そうだった、和泉くんは元来無口なんだった……!


わたしは再認識した現在に驚愕した。


……ええっと。


慄いて、口ごもる。


聞いてもいいのかな。

無神経だとか言われないかな。


こういう曖昧な線引きは苦手だ。


機微に疎い自信はあるから、自分で踏み込む勇気は出なくて、……少し。


不安に、なる。
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