今日も君に翻弄される。
どもるわたしを、訝しげに確認する和泉くん。


どうしたの? ってその顔いっぱいに書いてある。


「(和泉くん、)」


細々と見上げたわたしと目を合わせて。


瞳にどんな色を映したのか、和泉くんが苦笑する。


「……父は、会社員で」

「っ」


そっと、再び正面を見て、話し出してくれた。


「母は専業主婦だけどパートをしている」


もうすぐ父の誕生日でね、秘密でプレゼントを用意したいらしいよ。


「結婚して何年も経つのに未だに仲が良くて、僕の方が恥ずかしいくらい」


――何でもないことのように続きを語るから、


いずみ、くん。


――それが優しさだと、分かるから。


わたしは無難な相づちすらも打てずに黙りこくった。
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