今日も君に翻弄される。
「二人とも生真面目な人種なんだろうね、少々理屈を好むきらいがある」


……ああ。頑張らせてしまっている。


明らかな事実に気づいて泣きたくなった。


だって、おかしいよ。


和泉くんが自分から見解を述べるなんて非常事態だよ。


動転したわたしの大脳は、どうやら恐れを知らないようで。


普段なら思わないようなさりげなくひどいことを思い浮かべて、警鐘を打ち鳴らす。


ぐるぐる、がらがら、さ迷う思考はすばやく様変わりした。


どうしよう、どうしようって、さっきからそればかり考えている。


いくら時間をかけても堂々巡りで、どう頭をひねったって出ない答えが、わたしの焦りに拍車をかけた。


和泉くん、普段は饒舌なんかじゃないのに。聞き上手な人なのに。
< 72 / 261 >

この作品をシェア

pagetop