無名
確かに春になると、どこもかしこも真っピンク。
自宅の最寄りのバス停でサラリーマンや大学生達に紛れてバスを待つ。
新しいブレザーの制服を着ると、何もまだ始まっていないのに気分や景色が変わって見えてすごく不思議な感じがした。
「ちいちゃん~~!」
携帯画面に映る時計をボーッと眺めていると、背後で遠くから名前を呼ぶ声。
振り返ると見慣れた顔なのに違和感のある姿が私に駆け寄って来ている。
「おはよう、優ちゃん」
「どうしたの?驚いた顔して」
私の反応を見た幼馴染、優ちゃんは首を傾げて頭上でクエスチョンマークを浮かべた。
この違和感・・・高校の制服だからか。
私と同じ制服を着ているのにやっぱり慣れなかった。
それにしても私と違って優ちゃんはよく着こなせてるなぁ・・・