初恋
「絶対仕組んでるから。」
「だよね。」
「あーゆうの無理。ふつーにやれよってね」
「ホントね。」
そんなことばっか。
チラっと奥を見ると、
かずきと女子はちゃんと、手をつないでいた。
ズキ…
なんか苦しいな。
なんで嫉妬してんだ。
その時はそこまで考えてなかった。
とりあえず、腹が立っていたから。
「もう花火向かったほうがよくない?」
早くその場から逃げたくて言った。
「だね。おーい!かずき。いくぞー」
ゆうやが呼ぶと歩いてこっちにきた。
そして車に乗った。
その時、うちはかずきとは全く話したことがなくお互い「だれ?」状態。
車で向かってる最中、花火はもう始まった。
「あぁ始まっちゃった。」
「まぁ見えるから大丈夫だ。」
隣で携帯をいじりながらかずきは答えてくれた。
花火が次々と打ち上げられる。
ようやくついて車を降りると、
ほとんど無言で花火をみていた。
「おぉキレイ!すご!」
「おお!」
時々盛り上がっていた。
ハートの花火が何度か上がった。
「え!ハート!」
うちは急いで携帯をとり写真をとった。
「うまくとれない…」
カシャ
横でかずきが写真を撮っていた。
「お。ハート!すごくない?」
見せてもらった。
それは、形も花火の火の粉も全部ハートだった。
「それ、あとで送って!」
「わかった」
しばらく時間が経ち花火が終わって、迎えの車を待っていた。
「暗いねぇ」
色々話してるうちに迎えが来て、
家に帰った。
家と言ってもうちは、ある事情で施設に暮らしていた。