名前を教えてあげる。
ーーーカラダでしか、彼氏を繋ぎとめられないなんて、そんなに自分に自信がないの…?
ふと、田中みどりが言った言葉が美緒の脳裏で蘇った。
今は、セックスじゃなくて愛の言葉がききたい……
切に願う美緒の耳元で、順は囁く。
「乳首を刺激するのはダメだって…早産を引き起こす危険がある。コンドームも着けるよ」
「…え?どうして?もうこれ以上、妊娠しないじゃん?」
美緒はくすっ、と笑ってみせた。
「精液には、プロスタグランディンっていう子宮を収縮させる成分や、様々な細菌が含まれていて早産や破水を引き起こす危険がある。
他にもいろんな影響があるから、中で射精は避けたほうがいいし、コンドーム装着は必須なんだ」
先生が生徒に教えるみたいな口調。
記憶力抜群の優等生、中里順が現れた、と思う。
美緒は少し戯けて言った。
「そうなんだあ。でも、順てば、そんなことお勉強してたの?」
「当たり前じゃん!デキたって分かった時も、俺は美緒を抱きたかったし。
それで俺達の仲が終わるとか、これっぽっちも考えなかったよ…」
順はゆっくりと身体を起こし、美緒の上に体重を掛けないように馬乗りになる。