名前を教えてあげる。
「まあ〜良かった!気が付いたのね!」
順を押しのけるようにして、順の母・春香が割り込んできた。
「もう、心配したわよ、美緒さん!
妊娠していたなんて全然知らなかったもの。知ってたら、無理にクッキーなんか作らせなかったのに。
まさかこんなことになるなんて。
本当に悪いことしてしまったわ。
ごめんなさいね….」
大袈裟に嘆き、しゃべり続ける母を順は
「悪いけど、向こうに行っててもらえる?」
と怒りをこらえるように目を背け、カーテンの外に締め出した。
こんなことになるなんて……
ごめんなさいね…
「何…何なの…?」
美緒は、腹に手を当てた。
春香の言葉に不吉な予感がした。
「順、順?……
赤ちゃん、もしかして…」
美緒の問いに順は眉を歪め、ゆっくり頷いた。
「………流産だって…」