名前を教えてあげる。


さらに、友人の堀田タケシを迎えにいく事を命じた。


『…タケシ君が来れば、早く帰れないじゃん…ちょっと飲んで帰るって言ってたのに!』


運転席でムッとする美緒に、光太郎は言い訳するみたいに言った。


『祝い酒だから!明日、タケシの紹介で、茅ヶ崎にある新築マンションの現場に入ることになったんだ。派遣みたいな感じでね。
腰も調子いいしさあ』


平日の夜。
保育園児の恵理奈を居酒屋に連れ出すのは無理があった。
明日も登園しなければならないのだから。


一瞬、紀香に預けることも考えたが、紀香は、2人のやんちゃ坊主を1人でみているのだ。

親友とはいえ、いきなり恵理奈の面倒まで押し付けるのは非常識すぎる。
第一、仕事でいないかもしれない。

1人きりでも留守番させるしかなかった。


海苔を巻いた鮭のお握り2つと、タコの形に切ったウインナー、甘い卵焼き、胡瓜のおしんこ。

恵理奈の好物をこたつテーブルに並べてやり、
『すぐ戻ってくるね、ちょっとだけ出掛けるから』と小さな頭を撫でてやった。


恵理奈はうん、とうなづき、
『プリキュアのビデオ観て待ってるね』とけなげに言った。




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