名前を教えてあげる。
「……お勉強しに行っていいよ。気になるんでしょ?」
美緒が囁くと、順は「ごめん」と言って起き上がり、下着とトレーニングウェアを身に付けて、隣の部屋へ行ってしまった。
(前だったら、順の腕枕でぐっすりと朝まで眠るのに…)
淋しくなってしまい、美緒の手は、ついさっきまで順が侵入していた場所をまさぐり始めてしまう。
哲平の横顔。
獲物を狙うかのような、一重瞼の鋭い目付き。男臭い顎髭のライン。
仮想の世界の美緒は、違う男に抱かれる。
………丸い爪の指で愛撫される空想を思い描き、快感の波に揺られる。
…1度だけ触れたことのある柔らかな唇の感触を思い出しながら。
よく響く低音の声で哲平がいくよ…と囁き、美緒の脚を開いた。
美緒は、1人で頷き、身体を仰け反らせる。
さっきまで順が刺激していた部分は、違和感なく哲平を受け入れた。
あん…哲平いや。
そこ、気持ちいい……
頭の中の哲平の動きは巧妙で、美緒はすぐに達してしまった。
もっと楽しみたかったのに…
布団の中で下着を直したあと、美緒は(順、ごめんね)と心の中で呟き、目を瞑った。