名前を教えてあげる。
「……私の親は、70過ぎて両方とも健在なんだけど。
私は子供の頃から、彼らに過剰な期待をされて育ったの。
例えば、弁護士になれ、だの東大に入れだの冗談ではなくいう人達だった……
特に母は厳しかった。1番でなけれは意味がないって人だったから。
父は完全なイエスマン。家庭において、男親としての影響力はなかった。
高校は志望校に入ったけれど、残念ながら、私の力では10番以内に入るのがやっと…
友達は部活に熱中したり、男の子と交際したりしてるのに、そんなの馬鹿馬鹿しい、そんなの将来何になるって思いながら、勉強してた。
…でも、ある時、成績のことで親に叱られて、全てが嫌になった。
『いい結果が出なければ、どんなに努力したって無意味だ』と母は言ったわ。
それで私も切れた……
もう嫌だ、もう勉強するのやめた…って。
成績はどんどん下がっていった。そのうち、両親は私に何も言わなくなって、私も彼らに話し掛けなかった。
大学は、四国にある大学を選んだんだけど、それも、母は気に入らなかった。
一人娘の私を家に縛り付けたかったんだよ。