名前を教えてあげる。


三田村学園から徒歩15分ほどのこじんまりとしたスーパーマーケット。


高校3年生になったばかりの美緒がアルバイトを始めて2週間後に、中里順(なかざと じゅん)が同じくレジ係として採用された。


初めて順を見た時、美緒はバスケットボールの選手みたいだ、と思った。


背が高くて、がっちりとした体付き。それなのに、細面の優しい顔立ち。
くっきりとした二重瞼の瞳が印象的だった。


そんな彼が白いYシャツに店のユニフォームであるダークグリーンのエプロンを着けている様はなんだかアンバランスで可愛らしかった。

いるだけで女性を落ち着かない気持ちにさせるタイプだ。


パートのおばさん達の前情報によると、県内屈指の私立の進学校へ通っている、という。


高校最後の学年。そんな子なら、バイトなどせずに勉強一筋に頑張れば良いものを順は店長との面接で「社会勉強がしたいんです」と答えたらしい。


美緒がバスケットボールの選手みたいだ、と思ったのは大当たりで、順は小学3年生の頃からバスケットボールをやっていて、インターハイにも出たほどの選手だった。




< 31 / 459 >

この作品をシェア

pagetop