名前を教えてあげる。
部屋に入るなり、カーペットの床に美緒の躰を押し倒し、シャワーを浴びることさえ許さなかった。
フリースのプルオーバーもキャミソールもブラジャーも、一緒くたに胸の上まで押し上げられ、下半身は何も着けない状態で愛撫された。
交わりながら、体位を次々に変えるのは哲平流だけれど、乱暴に始まったセックスに美緒は少し抵抗した。
『背中が痛いよ…上でしようよ』とすぐそこにあるベッドを指差して懇願したのに動きを止めず、結局、哲平が果てるまで硬い床の上で抱かれるしかなかった。
荒い息遣いで、やっとベッドに引き上げてくれるのかと思ったら、すべての衣類を剥がされ、今度は部屋の壁に美緒の剥き出しの背中を押し付けた。
部屋は暖房が効いているのに、コンクリートの壁は冷えていて、ひやりとした感触に美緒は『きゃあ!』と悲鳴を上げた。
それでも、哲平はお構いなしだった。
美緒の足を思い切り開かせ、身体を抱え上げるようにして腰を揺らした。
「やだあもう…赤くなってるじゃん…」
洗面台の鏡に振り向くようにして、映し出された自分の痛々しい背中を見て、泣きたい気持ちになる。
壁紙のでこぼことした材質のせいで、広範囲に擦れてしまっていた。