名前を教えてあげる。


「いや?お前でもNGあるんだ。
セックス好きのお前が。なんでもやらせるのかと思ってたわ」


光太郎はニヤニヤと笑う。


「……こんな無理矢理なの嫌…
ごめんなさいって、謝ってるじゃん…二度とスマホ見たりしないから…」


涙ながらに赦しを乞う美緒の背中に光太郎は両手を回し、ブラジャーのホックを壊そうと試みる。


(うわ、ナニこいつ……!)


光太郎の勃ったものが腹に当たるのを、美緒は身を捻って必死に避けた。


「…んだよ、マジ固え…」


数回、ブラジャーの紐を力任せに引っ張っていた時。

ふいに光太郎の身体が不自然に揺れた。


「うわっ!」

(え?)


バランスを崩した光太郎が、尻餅を着くようにしてその場にへたり込んだ。


「ママ、逃げて!」


光太郎の後ろにパジャマ姿恵理奈がいた。

恵理奈は、美緒に襲いかかる光太郎の腰を目一杯の力で引いて、母親を助けたのだ。


「恵理奈、起きたの!」


美緒は片手でパジャマの前を押さえ、空いた手で恵理奈を抱き締めた。


「ごめん、起こしちゃった…うるさかったよね…」


こんな醜態を晒してしまって、情けない気持ちで一杯になる。


「こんのガキ!ふざけた真似しやがって!」




< 355 / 459 >

この作品をシェア

pagetop