名前を教えてあげる。


「国分村も過疎が進んでまして。老人ばっかりですわ。
なんとか村に活気を取り戻そうと20年ほど前、空き家と畑をタダみたいな値段で提供するっちゅう条件で移住者を募ったところ、大変な反響がありまして。
国分五郎さんはその時、関東のほうから来なさったんですわ。

自分と同じ名前の村だから、親近感持ったっちゅうて。

全国から人が集まってきましたわ。家族で来たり、夫婦で来たり。

会社勤めが合わんでやってきた独り身の男だったり。
大半は一年経たんうちに帰りましたが。

それでも、充分効果はありました。何人かの若いもんが、住み着いてくれましたけん。

でも、今度は嫁不足ですわ。
このままでは、村は衰退の一途を辿ることになるっちゅうて、私ら頭を捻りまして。

今週の土曜日、街場から来た娘さん達と村の若い衆が村役場の集会所で合コンするっちゅうイベントをやるんです。
良かったら、どうですか、野口さんも参加しませんか?」


「え?合コン?」


「若い衆っちゅうても、都会でいうとアラフォー?ってやつですがね。
何、お子さんいることなんか皆、気にしないですが。返って子供作る手間省けたくらいに思いますわ。

この村の男はイケメンじゃないですが、誠実で働き者ばかりです」





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