名前を教えてあげる。
風呂を沸かすために、五郎がかまどにくべた薪が燃える臭いを美緒はもう、クサイ、とは感じない。
切なくて懐かしい匂いだ、と思う。
(これから、国分村を思い出す為に、この臭いを思い出すんだろうな…)
「ああっ、由美、加奈、恵理奈!あんた達、粉つけ過ぎだがあ!
……って、エエエッ⁈」
雅子の叫び声で美緒は、子供達の方へ目をやった。
「わっ、やだ!」
どこをどうやったらこうなるのか、揃いも揃って、3人の子供達の可愛い鼻の頭に、白い粉で丸く印がついていた。
「あんたら、餅に顔近づけ過ぎなんだよお!」
雅子と美緒が一斉に笑い出し、白い粉がふわっと舞った。
田舎暮らしは新鮮なことばかりで美緒は、ここに来てからというもの、夢を見ているようだった。
3日目も良い天気だった。
美緒は五郎が縁側の雨戸を開けるゴロゴロという音で目が覚めた。
障子から透ける陽光で、今日も清々しい朝だと知る。
農業を生業とする五郎の朝はとても早い。
毎朝5時に起きる、という。
そしてNHKのニュース番組の音声を聞きながら、朝ご飯の支度をする。
僻地なので、新聞は昼前にやっと届くのだ。
切なくて懐かしい匂いだ、と思う。
(これから、国分村を思い出す為に、この臭いを思い出すんだろうな…)
「ああっ、由美、加奈、恵理奈!あんた達、粉つけ過ぎだがあ!
……って、エエエッ⁈」
雅子の叫び声で美緒は、子供達の方へ目をやった。
「わっ、やだ!」
どこをどうやったらこうなるのか、揃いも揃って、3人の子供達の可愛い鼻の頭に、白い粉で丸く印がついていた。
「あんたら、餅に顔近づけ過ぎなんだよお!」
雅子と美緒が一斉に笑い出し、白い粉がふわっと舞った。
田舎暮らしは新鮮なことばかりで美緒は、ここに来てからというもの、夢を見ているようだった。
3日目も良い天気だった。
美緒は五郎が縁側の雨戸を開けるゴロゴロという音で目が覚めた。
障子から透ける陽光で、今日も清々しい朝だと知る。
農業を生業とする五郎の朝はとても早い。
毎朝5時に起きる、という。
そしてNHKのニュース番組の音声を聞きながら、朝ご飯の支度をする。
僻地なので、新聞は昼前にやっと届くのだ。