名前を教えてあげる。
「あ、褒め言葉よ。自然が多くていいって意味よ。空気が違うわ」
美緒が何も言っていないのに、みどりは慌てて言葉を付け足した。
「なんで、いきなりここに来たの?」
美緒のストレートな質問に、みどりは、にこりとしてみせた。
「一応、心配だったからよ。
私が国分五郎さんのことを話したから、美緒は国分村に行く気になった。
でも、五郎さんが美緒に逢いたがっていたのは、大昔のことで、実際はどういう人物か、今はどういう状況なのか分からないじゃない。
私には一応、あなたの保護責任があるって、勝手に思ってるし。ちょうど、島根県にも来てみたいと思ってたしね。
命あるうちに」
みどりは笑ったけれど、最後の一言で美緒は悲しくなり、俯いた。
「あら。ジョークきつかったかしら?どうも最近、自虐的で」
「……」
「美緒、きいて」
改まったみどりの声に、美緒は顔をあげた。
「こないだ、私、掛かりつけの県立大学病院で定期健診受けたんだけど」
みどりは顔を真っ直ぐにして言った。
「え…」
良くない予感がじわじわと湧いてきて、美緒の胸はざわめいた。